「乳歯のむし歯」進行度で異なる治療方針|上原歯科医院|練馬の歯医者

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「乳歯のむし歯」進行度で異なる治療方針

「乳歯のむし歯」進行度で異なる治療方針

乳歯のむし歯は「進行度」と「生えかわる時期」で治療内容が変わる


乳歯のむし歯の治療は、むし歯の進み具合と、永久歯への生えかわる時期、お子様がどれくらい治療に協力できるかを合わせて決めます。


この記事の要点まとめ


  • 乳歯のむし歯は進行度や生えかわりまでの期間に応じ、経過観察や詰め物、歯髄の処置などが検討されます。
  • しみる、食べ物が挟まる、腫れや痛みがあるなどの変化は、歯科医院へ相談する目安になります。
  • 治療後も仕上げ磨きやフロス、定期検診で詰め物やお口の状態を確認しましょう。

目次



進行度で異なる乳歯のむし歯の治療内容

進行度で異なる乳歯のむし歯の治療内容

乳歯のむし歯が進みやすいといわれる理由


乳歯は永久歯より小さめで、表面を覆うエナメル質やその内側の象牙質の厚みも、永久歯の半分程度と薄くなっています。そのため、むし歯が内部へ広がりやすいといわれます。生後6か月頃から3歳頃までに生える乳歯は、成長に合わせてすり減ることができる適度な硬さを持っていますが、酸に対する抵抗力が弱い一面もあります。


「どのくらいの速さで進むのか」と心配される保護者の方もいますが、進行のスピードには個人差があります。おやつの回数や飲み物の種類、歯磨きの状態、唾液の働きなどによって変わるため、一律に期間を言い切ることはできません。痛みを自覚しにくいまま深く進むこともあるため、定期的な確認が欠かせません。


初期段階:フッ化物塗布と仕上げ磨きで様子を見る状態


歯の表面が白く濁っているものの、まだ穴があいていない初期むし歯では、削らずに経過観察とすることがあります。歯科医院でのフッ化物塗布や、家庭でのフッ化物配合歯みがき剤を使った毎日の歯磨きによって、溶け出した成分が歯に戻る「再石灰化」を促します。


「乳歯のむし歯は治るのか」という疑問に対しては、穴があく前の段階であれば進行を止められる可能性がある一方、一度穴があいた部分は自然には元に戻りません。状況によっては、むし歯の進行を抑えるフッ化ジアンミン銀という薬剤を塗って管理する方法が選ばれることもあります。


象牙質まで進んだ段階:削って詰める処置と削る量を抑える考え方


むし歯がエナメル質を越えて内側の象牙質まで達し、穴があいた状態になると、経過観察だけでは進行を抑えきれないことが多くなります。一般的には、むし歯になった部分を取り除き、白い樹脂を詰める処置を行います。


お子様の年齢や協力度、歯の残り具合によっては、フッ化ジアンミン銀を塗って進行を抑える方法を選ぶ場合もあります。この薬はむし歯の進行をおさえるために塗るもので、塗ったところが黒っぽく変わるため、事前の確認が必要です。


神経近くまで進んだ段階:歯髄の処置・被せ物・抜歯を検討する状態


むし歯が歯の神経(歯髄)の近くや中まで進んだときは、ばい菌が入った神経の一部を取る「断髄」や、全部を取る「根管治療」をします。そのあと、乳歯用の被せ物(クラウン)で歯をまもる方法が考えられます。歯の大部分がくずれていたり、根の先にうみがたまっていたりするときや、永久歯への生え替わりが近いときは、歯をぬくこともあります。


何もしなくてもズキズキ痛む、歯ぐきが腫れて膿が出る、歯の色が黒や茶色に変わってきたといった症状は、むし歯が深く進んだサインです。乳歯を早い時期に抜いた場合は、隣の歯が倒れて永久歯の生える場所が狭くならないよう、「保隙装置(ほげきそうち)」と呼ばれる器具で隙間を保つ管理が必要になることもあります。


進行段階歯の状態・主な症状検討される主な対応
初期段階表面の白濁、穴はない、痛みなしフッ化物塗布、仕上げ磨きの見直し、経過観察
象牙質まで進行小さな穴、冷たい物や甘い物がしみる、物が挟まるむし歯の除去と詰め物、進行抑制剤の塗布
神経近くまで進行強い痛み、歯ぐきの腫れ、歯の変色歯髄の処置・根管治療、被せ物(クラウン)、状態により抜歯

表の処置はおおまかな目安です。実際には、永久歯が育っている場所やお子様の体のようす、診療にどのくらい慣れているかをふまえて、治療方針を決めます。


ポイント

穴があく前の初期むし歯はフッ化物塗布などで様子を見ることがありますが、穴があいた場合や症状が出た場合は、詰め物や歯髄の処置など段階に応じた対応が検討されます。


経過観察から削る処置へ移る判断と、受診を早めたい変化

経過観察から削る処置へ移る判断と、受診を早めたい変化

冷たい物を嫌がる・食べ物が挟まるのはむし歯の進行を疑う変化


前回の受診で「初期むし歯なので経過観察にしましょう」と言われていても、その後に冷たい水や甘い物を嫌がるようになった場合は、むし歯が象牙質まで進んだ可能性があります。象牙質には歯髄へつながる細い管が通っており、外からの刺激が伝わりやすくなるためです。


食事中に片側ばかりで噛む、特定の奥歯に食べ物がよく挟まる、仕上げ磨きのときにフロスが引っかかるといった変化も、歯と歯の間に穴があいたサインであることがあります。こうした日常生活での変化が見られたときは、予定していた定期受診の時期を待たずに歯科医院へ相談することが勧められます。


「乳歯はいずれ抜ける」は誤解になりやすい?奥歯は長く使う歯


「乳歯はどうせ抜けるから、そのままでも大丈夫ではないか」と考える方もいますが、乳歯が抜ける時期は歯の場所によって大きく異なります。前歯は6〜7歳頃から生え替わりが始まりますが、乳歯の奥歯(乳臼歯)は9〜12歳頃にかけて順に生え替わるため、それまで使い続けます。


硬い永久歯が顎の骨の中で育つには5年以上の長い年月がかかり、その間は乳歯が噛む役割や顎の成長を支えています。たとえば5歳のお子様の奥歯であれば、これからまだ4〜7年ほど使い続ける計算になります。むし歯を放置すると、痛みで食事が偏ったり、後から生えてくる永久歯の質や歯並び・噛み合わせに影響したりすることがあるため、生え替わりまでの期間を見据えた管理が求められます。


治療方針を左右する4つの要素:深さ・症状・生えかわりまでの期間・協力度


歯科医師が経過観察を続けるか、削る処置へ移るかを判断する際は、単にお子様の年齢だけを見ているわけではありません。「むし歯の深さ」「痛みや腫れなどの症状」「その歯が生えかわるまでの残り期間」「お子様が診療台でどの程度協力できるか」という4つの要素を組み合わせて方針を組み立てます。


たとえば、同じ深さのむし歯であっても、まだ4〜7年ほど使う5歳児の奥歯でしみる症状があれば、詰める処置が検討されます。反対に、もうすぐ抜ける10歳頃の乳歯で痛みがなければ、大がかりに削らず進行を抑える処置や清掃管理で生え替わりを待つこともあります。お子様が器具を強く怖がる場合は、まず進行抑制剤などで悪化を防ぎながら、治療の練習を進めるといった段階的な選択もなされます。


家庭の見た目だけで判断しにくい理由と、診察で伝えたい食事中の様子


乳歯のむし歯、とくに奥歯の溝や歯と歯の間から始まるむし歯は、外から見ただけでは小さな点やうっすらとした影にしか見えないことがよくあります。表面のエナメル質は小さな穴でも、内側の軟らかい象牙質で大きく広がっていることがあり、ご家庭での仕上げ磨きだけで進行度を見分けるのは難しいです。


診察を受ける際は、家庭で気づいた小さな変化を歯科医師に伝えると、状態の確認がスムーズになります。受診前に次のような点をメモしておくと役立ちます。


  • いつごろから、どんな食べ物(つめたい物、あまい物、かたい物など)をいやがるか
  • 食べ物がはさまりやすい場所や、かむときに使う側の偏り
  • 仕上げみがきやフロスを通したときのお子様のようす、血が出るか、引っかかるか

ポイント

乳歯の奥歯は小学校の高学年ごろまで使います。冷たい物をいやがる、物がはさまるといった変化が出たら、定期の受診を待たずにみてもらう目安になります。


お子様の協力度に合わせた進め方と通院回数の見通し、治療後のケア


診療台で口を開けられないときの治療の進め方


前回の受診で器具を怖がって口を閉じてしまったお子様に対して、いきなり歯を削る処置を行うことはまれです。多くの歯科医院では、まず診療台に座る、鏡をお口に入れる、風や水をかける器具に触れてみるといった練習から始め、お子様のペースに合わせて段階的に慣らしていきます。


当院では日本小児歯科学会専門医がおります。お子さまのペースに合わせて無理に治療を進めない対応をしています。すぐに削ることが難しい場合でも、フッ化物やフッ化ジアンミン銀の塗布などで進行を食い止めながら、処置ができる時期を待つ方法があります。


進行度別に見た通院回数と1回あたりの時間の目安


通院回数や1回あたりの診療時間は、むし歯の深さと本数、そしてお子様の集中力によって変わります。初期むし歯の経過観察やフッ化物塗布であれば、1回15〜30分程度で終わり、その後は3〜4か月ごとの定期受診となるのが一般的です。象牙質までの小さなむし歯をコンポジットレジンで詰める処置なら、1歯あたり1〜2回、1回15〜30分程度が目安となります。


神経の処置(根管治療)や被せ物が必要な深いむし歯では、根の中の消毒と薬の充填、被せ物の装着などで1歯あたり2〜4回ほどの通院が必要になることがあります。お子様が長時間お口を開け続けるのは負担になるため、あえて1回の処置時間を短く区切り、回数を分けて進めることも少なくありません。


治療後の仕上げ磨き・フッ化物配合歯みがき剤・定期管理


治療を終えた後も、その周囲や他の乳歯に新しいむし歯ができるのを防ぐためのケアが続きます。家庭での予防の基本は、フッ化物配合歯みがき剤を使った毎日の歯磨きと、保護者による仕上げ磨きです。


とくに乳歯の奥歯の溝と、歯と歯の間は汚れが残りやすいため、仕上げ磨きの最後にデンタルフロスを通す習慣をつけると清掃性が高まります。あわせて、ダラダラ食べを避けて、おやつの時間を決めましょう。


治療のあとは、一時的に歯がしみたり、麻酔が切れたあとに違和感が出たりすることがあります。詰め物が外れることや、麻酔が効いている間に唇を噛んでしまうことにも気をつけましょう。


歯科医院での定期検診で、フッ化物塗布や奥歯の溝を埋めるシーラントなどの予防処置をお子様の状態に合わせて取り入れることも、生えかわりまで乳歯を守る支えになります。もし経過観察中のお子様に気になる変化があれば、次回の検診を待たずに一度お口の状態を確認してもらいましょう。


よくある質問(FAQ)


Q. 乳歯にむし歯が見つかりショックを受けています。仕上げ磨きをしていたのになぜできるのでしょうか?


A. 毎日ていねいに仕上げ磨きをしていても、乳歯の奥歯の深い溝や歯と歯の間には毛先が届きにくく、むし歯ができることはめずらしくありません。乳歯はエナメル質や象牙質の厚みが永久歯の半分ほどしかなく、酸に弱い特徴もあります。

保護者の方の頑張りが足りなかったと責める必要はなく、フロスを使うことやフッ化物入りの歯みがき剤の使い方、おやつの習慣などを歯科医院で一緒に見直すきっかけにしていただければと思います。


Q. 麻酔を使った治療のあと、食事や生活で気をつけることはありますか?


A. 局所麻酔を使った場合、処置が終わってからもしばらくの間(1〜2時間程度)は唇や頬、舌の感覚が鈍くなっています。お子様がその不思議な感覚を気にして、無意識に唇や頬の内側を強く噛んだり吸ったりすると、麻酔が切れたあとに大きく腫れて口内炎のようになることがあります。

食事は麻酔が完全に切れたことを確認してからにし、それまではお子様が口元を噛んでいないか見守ってあげてください。


Q. むし歯の治療だけでなく、将来の歯並びへの影響も一緒に相談できますか?


A. 相談可能です。乳歯のむし歯が大きくなって歯の形が変わったり、早い時期に抜歯になったりすると、奥歯が前へ傾くなどして永久歯が生えるスペースが足りなくなることがあります。

むし歯の処置とあわせて、生えかわりの順序や顎の成長、必要に応じたスペース確保(保隙)についても歯科医師へ確認しておくと、将来的な歯並びの見通しを立てやすくなります。


Q. 詰め物をした歯がまたむし歯になることはありますか?


A. 一度治療した歯であっても、詰め物と歯の境目に汚れがたまり続けると、その隙間から再びむし歯(二次う蝕)になることがあります。また、乳歯は噛む力で少しずつすり減ったり、お子様の成長に伴って噛み合わせが変化したりするため、詰め物が欠けたり外れたりすることもあります。

治療が終わったあとも、定期検診で詰め物の状態や周囲の清掃状態を確認し続けることが大切です。