
お子様が歯をぶつけたときの応急対応
1. 最初にお子様の様子を確認してください
意識がぼんやりしている、吐き気や嘔吐がある、強いめまいなどの症状がある、お箸など鋭いものが喉に刺さった場合は、歯科を受診する前に、ただちに救急(119番)または救急相談窓口へご連絡ください。
2. 頭の症状がなければ、お口の中を確認します
出血はないか、歯がぐらついていないか、歯が欠けたり、位置がずれたりしていないか、お口の状態や怪我の状況を電話でお伝えの上、ご来院ください。
この記事の要点まとめ
- 意識のぼんやり、繰り返す嘔吐、けいれんなどがあれば救急へ連絡し、頭の症状がなければ口の中を確認します。
- 歯の出血・ぐらつき・欠け・位置のずれを見て、受傷状況や全身の様子を歯科医院へ電話で伝えます。
- 抜けた歯や破片は口に戻さず、根に触れず保存液や牛乳に入れて持参し、受診後も変化を見守ります。
目次
子どもが歯をぶつけた直後、救急と歯科のどちらへ連絡する?

頭を打ったことによるようすの変化があるときは救急への連絡を先にし、なければ口の中の4つの点(出血・ぐらつき・欠け・歯の位置のずれ)をたしかめて歯医者さんへ連絡します。
意識がぼんやりする・繰り返し吐くときは歯より救急を優先
口元を強く打ったときは、頭や首にも衝撃が加わっていることがあります。お電話でご相談を受けた際も、まずは頭痛やめまい、吐き気がないか、ぶつけた時にお箸など尖ったものが口の中に入っていなかったかを確認し、該当する場合は救急を先に受診するようご案内しています。
呼びかけへの反応がにぶい、何度も吐く、けいれんがある、耳や鼻から水のようなものが出るときは、歯科より救急を優先してください。救急車を呼ぶか、小児救急電話相談(#8000)や東京消防庁救急相談センター(#7119)へ連絡します。ぶつけた直後はふだん通りに見えても数時間たってから症状が出ることがあるため、その日の夜は様子を見守ってください。
歯の出血・ぐらつき・欠け・位置の変化
頭部の症状がなく、口の中から血が出ている場合は、清潔なガーゼやティッシュを傷口に当ててしばらく押さえ、血を止めます。ガーゼがあれば、ティッシュよりも傷口にはりつきにくいガーゼのほうが使いやすいです。血が落ち着いたら、歯を指で揺らしたり押したりせず、目で見て次の4つの点を確認してください。
- 出血の続き方:歯ぐきや唇からじわじわと血が出続けていないか
- 歯のぐらつき:唾を飲み込んだり話したりするときに歯が揺れていないか
- 欠けや割れ:歯の先端が欠けていないか、表面に線が入っていないか
- 位置の変化:隣の歯と比べて長さが変わっていないか、前後へ傾いていないか
あわせて、唇の内側や歯ぐきが切れていないかも見ておくと、電話で状況を伝えやすくなります。
抜けた歯や欠けた破片はどう扱う?

抜けた歯が乳歯なら、もとの場所には戻しません。永久歯なら根の部分にさわらないようにして、保存液や牛乳にひたし、乾かさないように病院へ持っていきます。乳歯か永久歯かわからないときも、お口の中には戻さずにとっておき、歯医者さんへお持ちください。
抜けた乳歯を元の位置に戻してはいけない理由
乳歯が抜けてしまったとき、抜けた穴へ無理に押し戻そうとするのは控えてください。乳歯の根のすぐ下には、これから生えてくる永久歯の芽(歯胚)があり、乳歯をぶつけたときの衝撃がこの芽まで傷つけることがあります。抜けた乳歯を穴へ押し戻すと、下で育っている永久歯の芽を押して傷めるおそれがあるため、乳歯はもとに戻さないのが基本です。
抜けた永久歯は根に触れず、保存液に入れて持参
永久歯が抜けた場合は、条件が整えば元の場所へ戻せる可能性があります。そのために守りたいのが、歯の根の周りについている歯根膜(歯と骨をつなぐ膜)を傷つけず、乾燥させないことです。
保存液なければ、ガーゼでやティッシュを唾液で濡らし歯を覆う、または、牛乳に浸して持って来てください。【水は使用しないでください】。
乳歯か永久歯か分からないときの保管と、受診まで避けたい行動
前歯が生え替わる6〜8歳ごろは、抜けた歯や欠けた歯が乳歯なのか永久歯なのか、保護者の方には見分けがつかないことも珍しくありません。当院では、お電話の段階で保護者の方に乳歯か永久歯かを判別していただく必要はないと考えており、そのままご来院いただくようお伝えしています。判断に迷う場合は、お口の中には戻さず、永久歯と同じように歯の保存液や生理食塩水、または冷えた牛乳に入れてご持参ください。欠けた歯の破片が見つかった場合も、同じように液体へ浸して持ってきていただくと、接着して修復できることがあります。
- ぐらついている歯を指や舌で触って揺らす、自分で位置を押し戻そうとする
また、歯科医院を受診するまでの間は、次の行動を避けて安静に過ごしてください。
- 抜けた歯や破片を乾いたティッシュに包んで持ち運ぶ(乾燥してしまうため)
- 抜けた歯の根をブラシや指でこすり洗いする、消毒液につける
- 傷口が気になるときに何度も強くうがいをする(血が止まりにくくなるため)
ポイント
抜けた歯や破片は、乳歯か永久歯かわからなくても「お口に戻さず、根にさわらず、歯の保存液や生理食塩水、または冷えた牛乳に入れて」歯医者さんへ持っていきます。
電話では何を伝え、来院時に何を持っていく?
電話で伝える受傷時刻・ぶつけた状況・歯と頭の状態
歯科医院へ電話をかけるときは、次の項目を順番に伝えると、緊急性の判断や来院時間の案内がスムーズに進みます。
1. お子様の年齢と歯の種類:何歳か、ぶつけたのが乳歯か永久歯か(わからなければ「生え替わり時期で不明」と伝える)
2. 受傷時刻と状況:何時ごろ、どこで何にぶつけたか
3. 出血と歯の状態:血は止まっているか、歯のぐらつき・欠け・位置のずれ(長く見える、めり込んでいるなど)はあるか
4. 抜けた歯・破片の有無:手元にあるか、何に入れて保管しているか
5. 全身の様子:意識ははっきりしているか、吐き気や頭痛はないか
受診前に口の中の写真を撮っておくと役立つ理由
歯科医院へ向かう前に、余裕があればスマートフォンでお口の中の写真を撮っておくと診察の手がかりになります。ぶつけた直後は歯ぐきが腫れていなかったのに、移動している間に腫れが出てきたり、出血の場所がわかりにくくなったりすることがあるためです。
ただし、お子様が痛がったり嫌がったりしているときに、無理に唇を引っ張って撮る必要はありません。お口を軽く開けてもらえる範囲で1〜2枚記録しておくだけでも、受傷直後の状態を歯科医師と共有するのに役立ちます。
保険資格の確認書類と医療証など持ち物の確認
急いで出発するときに忘れやすい持ち物をまとめました。出かけにチェックしておくと、受付から診察までが落ち着いて進みます。
- マイナ保険証や資格確認書など、保険に入っていることがわかるもの
- 子ども医療証(練馬区など、住んでいる区や市が出している医療費の助成の証)
- 抜けた歯や欠けた破片(生理食塩水や冷たい牛乳に入れた容器ごと)
- 母子健康手帳、お薬手帳(飲んでいるお薬があるとき)
- 清潔なハンカチやガーゼ、替えのマスク(移動中に血がにじんだとき用)
受診後の検査・固定と、数か月にわたる経過観察
受診後は一般的に、お口の中の傷や歯の揺れ具合を確かめ、必要に応じて歯の根や骨、下にある永久歯の状態を調べます。揺れが小さいときは両隣の歯と接着剤でつないで固定し、揺れが大きいときはワイヤーなどで補強したうえで接着剤で固定する方法があります。固定している間は装置のまわりに汚れがたまりやすく、歯ぐきに炎症が起きることや、一時的な違和感が出ることがあります。
また、歯をぶつけた影響は数週間から数か月経ってから現れることがあります。日が経つにつれて歯の色が黒っぽく、または灰色に変わってきた、歯ぐきに小さな白いできもの(膿の出口)ができたといった変化が見られたら、次の予約日を待たずに連絡してください。外傷の程度によって再診の間隔や期間は変わるため、痛みが引いたあとも定期的な経過観察を続けていきましょう。
よくある質問
Q. 1歳のお子様が歯をぶつけて血が出ています。どう対応すればよいですか?
まずは清潔なガーゼやティッシュで血が出ている部分を5〜10分ほど押さえて止血し、激しく泣き続けていないか、吐いたりぼんやりしたりしていないかを確かめてください。1歳ごろは上下の前歯が生え始める時期で、唇の裏のすじ(上唇小帯)が切れて血が多く見えることもあります。血が止まったら、歯が歯ぐきにめり込んでいないか、位置がずれていないかを目で見て確認し、歯科医院へ電話で状況を伝えて受診の目安を相談してください。
Q. 歯をぶつけた当日の食事や入浴、歯みがきで気をつけることはありますか?
ぶつけた当日は、前歯で噛み切る必要がない柔らかい食事(うどん、おかゆ、スープ、ヨーグルトなど)にし、熱いものや刺激の強いものは避けてください。入浴は血行が良くなると再び血が出たり痛みが出たりすることがあるため、当日はぬるめのシャワー程度で済ませ、激しい運動も控えます。歯みがきはぶつけた歯の周りを無理にブラシでこすらず、濡らしたガーゼで優しく拭うか、うがいで清潔に保つ程度にしておき、歯科医師の指示に従ってください。
Q. ぶつけた歯が後から黒っぽく変色してきた場合、すぐ抜くことになりますか?
歯の色が変わってきたからといって、すぐに抜歯になるとは限りません。歯をぶつけた衝撃で歯の中の神経や血管に変化が起きると、数週間から数か月後に歯が灰色や黒っぽく見えることがあります。
一時的な充血で色が戻るケースもあれば、神経の処置が必要になるケース、周囲の骨や下にある永久歯への影響を見ながら経過を追うケースもあります。このように対応は分かれるため、色の変化に気づいた時点で歯科医院へ連絡し、状態を診てもらってください。
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